こんにちは、FP兼複業コンサルのてつやです。
「妊娠・出産で医療保険は必要ですか?」
よく聞かれる質問です。
日本は公的保険が充実しているので、過度に保険に加入することをぼくはおすすめしていません。
でも結論からいえば、妊婦さんこそ医療保険に入っておくべきです。
その一番の理由として、身近な人が医療保険で救われた事例を数多く見ているからです。
妊娠中に何もトラブルなく出産できた方は「保険なんて要らないよ」と言うかもしれません。
でも実際に妊娠異常で緊急手術&緊急入院をした人を目の当たりにしました。(ぼくの妻もその1人です!)
またその入院生活のことを聞くと「妊婦さんこそ医療保険って必要」と思うのです。
✅妊娠・出産で必要となる費用
✅利用できる制度
✅妊娠前に医療保険に加入するメリット
不安かも…と思った時はココナラでもお待ちしてます。
では解説していきます。
妊娠~出産時にかかる費用
妊娠・出産には、具体的に以下のようなお金がかかってきます。
・妊娠中の入院費用
・自然分娩か帝王切開かで変わる分娩費用
・その他(里帰り費用、マタニティ・ベビー用品関連費など)
妊婦検診費(通院費用)
妊娠初期から分娩までの間に妊婦健診が行われ、目安回数としては14回程度です。
妊婦健診にかかる費用は助成金制度があり、自己負担額は基本的には上限金額を超えた分のみとなります。
※中央区令和4年度参考:3,040円~10,850円 (健診内容や回数により異なる)
「妊婦健診費用助成」とは妊婦健診時の健診費用を助成してくれる制度です。
母子手帳の交付を受けた際に、同時交付される専用の受診票が必要です。
妊娠中の入院費用
分娩時のみ入院となる場合が一般的ですが、以下のような場合は妊娠中に入院することも考えられます。
・切迫流産
・妊娠高血圧症など
費用は内容や入院期間によって変わりますが、一般的に上記の症状で入院した場合は健康保険の対象です。
民間の生命保険の場合は、異常分娩と認められれば保障対象となることが一般的ですが、保障範囲は商品内容によって異なります。
特に注意したいのは、つわり(悪阻)です。
つわりの症状は人によってさまざまで、一般的なつわりだけでは健康保険・民間の生命保険ともに対象外です。
ただし医師の判断で入院が必要なつわりの場合は、健康保険は適用・民間の生命保険は適用外となることもあるため、商品ごとに保障範囲を必ず確認しておきましょう。
自然分娩か帝王切開かで変わる分娩費用
自然分娩
医療を介さない、自然の流れに沿った出産をさし、正常分娩といえば自然分娩になります。
医療機関や個室の選択などによって異なるため、かかる費用は40~80万円程度と考えておくといいでしょう。
公的医療保険は適用されませんが、公的補助として出産育児一時金42万円(平成27年1月~令和3年12月現在)が支給されます。
無痛分娩
無痛分娩とは麻酔によって出産時の痛みを抑える分娩方法で、妊婦の希望により選べます。
無痛分娩は自然分娩と同様、すべて自費負担です。
費用は医療機関に応じて異なりますが、目安としては10~20万円程度のプラスとなります。
正確な費用は受診する病院やクリニックへ確認してみましょう。
帝王切開分娩
母体の状況により経腟分娩が難しい場合、帝王切開分娩という手術で出産する方法が選択されます。
帝王切開分娩には、予め計画・予定されていた『選択帝王切開』と自然分娩から急きょ変更となる『緊急帝王切開』があります。
帝王切開分娩の費用は、地域や医療機関の違いに関係なく、緊急帝王切開は22万2,000円、選択帝王切開は20万1,400円(平成28年診療報酬点数表より)ですが、いずれも医療行為とみなされ、公的医療保険が適用されます。
そのため、自己負担は3割です。
帝王切開の場合は、出産一時金の支給の他、高額療養費制度の適用もあり、所得に応じて自己負担限度額を超えた部分が支給されます。
ただし、自然分娩より入院期間が長くなる傾向にあり、実際には自然分娩と同じくらいの自己負担額と考えておくのがいいでしょう。
その他
その他にかかる費用としては、以下の費用が挙げられます。
・マタニティ用品関連費
・ベビー用品関連費 など
その他費用は、人や趣味趣向にや、第一子か第二子によっても異なる費用のため、一概に概算金額があるわけではありません。
しかし、あとから想定外の出費とならないように、おおよその金額を事前に見込んでおくようにしましょう。
妊娠中にかかるお金には「保険適用」と「適用外」がある!
妊娠は病気ではないため、基本的に公的医療保険は適用外になり、健診費は全て自費になります。
医療機関によって差がありますが、目安としては1回あたり1万円程度みておいた方がいいでしょう。
妊娠したら出産まで、14回ほど通院することになります。
また、初診料がかかる最初の健診や血液検査を行った際は健診費が高くなります。
妊娠・出産が初めてのママは健診費の金額に驚かれるかもしれません。
母子手帳をもらうときには自治体からの公的補助として受診票(補助券)が受け取れるため、1回の支払いは1,000〜3,000円程度となるケースが大半です。
ただし、自治体によって補助額が異なるだけでなく、病院や検査内容、処置などによって健診費も異なるため、どのくらい補助が適用されるかは事前に自治体へ確認する必要があります。
妊娠によって生じる妊娠高血圧症候群やつわりなどの症状に対しての診察は、公的医療保険が適用されます。
ただし、入院時の食事代(保険適用の場合、1食460円までが自己負担)や個室利用によるベッドの差額代などは自己負担になります。
また、民間の医療保険に加入している場合は、入院などが給付対象となる可能性がありますので、保険会社に問い合わせてみてください。
会社員や公務員が妊娠症状によるトラブルで仕事を休まざるを得ない場合は、所定の条件にあてはまれば、健康保険から傷病手当金が支給されることも覚えておきましょう。
出産で「もらえるお金」
妊娠、出産に際して、注目したい公的補助についてご紹介します。
出産時に活用できる公的補助をまとめてチェック!
出産育児一時金
被保険者及びその被扶養者が出産した場合には、子ども1人につき42万円が支給されます。妊娠4ヵ月(85日)以降での出産が支給条件です。
医療保険者(健康保険の運営者)から医療機関へ直接、出産育児一時金の支払いが行われる直接支払制度もあります。
出産手当金
被保険者が出産のために会社を休み、その間の給与が支払われなかった場合に、標準報酬日額の3分の2が支給されます。
出産前42日(多胎妊娠の場合は98日)から、産後56日目までの期間が支給対象です。
傷病手当金
被保険者が病気やケガで会社を休んだ際に、標準報酬日額の3分の2が支給されます。
高額療養費制度
1ヵ月間(同じ月内)にかかった公的医療保険適用の診療に対する自己負担額が高額になった際、年齢や所得などから設定される「自己負担限度額」を超えた金額が払い戻される制度です。
帝王切開分娩などの医療行為を受けた際に活用することができます。
自然分娩の場合は保険適応外なので、それ自体は高額療養費制度を活用することはできません。
しかし自然分娩での出産時に何らかの医療的処置をした場合、また産後の状態が悪く、入院が長引くなどの場合も保険適用になれば、高額療養費の対象となります。
医療費控除
1年間の医療費(公的医療保険適用外も含む)が、保険などで補填される金額を差し引いた上で世帯の合計が10万円(総所得金額等が200万円未満の人は総所得金額等の5%)を超える場合、一定の金額の所得控除を受けることができる制度です。
妊娠、出産に関しては、妊娠と診断されてからの定期検診や検査などの費用、また、通院のための交通費、分娩費、入院費などが対象となります。
各種制度の活用には細かな規定があります。
事前に必ず関係各所に確認して、ご自身が活用する制度について理解しましょう。
妊娠前に医療保険に加入するメリット
保険会社にとって保険金を支払う可能性が高くなる妊娠中に加入可能な保険はごく少数のため、保険加入を考えている人は妊娠前に「医療保険」に検討・加入することをおすすめします。
妊娠前に医療保険に加入するメリットは以下の通りです。
・異常分娩に備えることができる
・一度帝王切開などすると次回以降は保険の補償が得られない
・産後の病気・ケガにも備えられる。出産後に保険加入じゃ遅い?
上記のメリットについて詳しく解説していきます。
1. 加入できる保険商品の幅が広がる
妊娠中に加入できる保険商品の注意点は、出産関連の疾病・子宮部位の疾病が不担保(条件付き)になることが一般的な点です。
不担保の内容は、保険商品や加入者の健康状態によって違いがありますが、以下のような一例があります。
✔子宮外妊娠
✔帝王切開
✔早産・流産
✔妊娠中毒症
✔妊娠悪阻(酷い「つわり」のこと)
現在では以下のように妊婦でも申込可能な保険も存在します。
ただし、これらも妊娠週数に限りがあるだけでなく、選べる商品数も少数です。
妊娠中でなければ不担保を気にせず、加入できる保険商品の幅は格段に広がるため、保険加入を考えている場合は妊娠前に加入することをおすすめします。
2. 異常分娩に備えることができる
妊娠の定期健診や通常分娩では保険適用外となり、全額自己負担です。
一方、異常分娩の場合は保険適用となります。
異常分娩の一例は以下の通りです。
✔帝王切開
✔吸引分娩
✔切迫早産 など
異常分娩により緊急手術や入院が発生した場合など、医療費が高額になっても保険適応となります。
妊娠前から保険加入している場合は、これらの異常分娩が不担保になることはないため、経済的な心配をすることなく治療に専念できます。
医療保険に加入していれば、入院に対して入院給付金が支払われますし、入院中に手術となった場合は手術保険金が支払われ、それらの出費に備えられます。
月々2,000円前後の保険料でこのような高額な入院費用に備えられるのですから、保険の費用対効果としても悪いものではないでしょう。
金銭面の物理的な補償だけでなく、心配事が1つ減るというのはとても大きなメリットなのです。
3.一度帝王切開などすると次回以降は保険の補償が得られない
妊娠に対する保険を検討するなら一番良いのは妊娠前です。
もし現在妊娠中で保険未加入で、妊娠が順調に経過しているなら今が加入のラストチャンスです。
というのも一度帝王切開等の異常分娩をしてしまうと、次回以降の妊娠では帝王切開の保険保障が受けられなくなるからです。
同様にすでに何かしら妊娠・出産に問題があれば、今回の妊娠でもその部分が保障の対象外となってしまいます。
また、妊娠中の方は加入出来る妊娠週が決まっていたり、告知審査があったりするので、出来るだけ早めに加入しておくことをお勧めします。
今回の妊娠に関しても次回以降の妊娠に関しても、問題がない今のうちに加入しておかなければ、いざ保障が欲しい時に使えないという事が出てくるのです。
4.産後の病気・ケガにも備えられる。出産後に保険加入じゃ遅い?
保険は出産後に見直せばいいかという方もいるかもしれません。
しかし、産後の経過が良くなくて入院が長引いた場合どうなるでしょうか?
その時に保障をしてくれるのは出産前に加入した保険になります。
また、産後はホルモンバランスや体の変化から体調不良を訴えたり、怪我をしてしまったりする人もいます。
子育てが落ち着いてから保険を検討しようと思っていたらその前に体調を崩してしまったという人も多くいます。
妊娠前に医療保険に加入した人の口コミ
33歳女性
妊娠中でも加入可能だったから。過去に、妊娠糖尿病になったことからこの保険を選んだ。
* 過去の出産の際、妊娠糖尿病になられたとのことですが、ご出産後、1年経過時に検査し問題無し、完治したとのことです。
29歳女性
手頃な掛金で通院まで保障されるところ。
また、歯周病についても保障されるということで、将来を見据え、加入を決めました。
https://twitter.com/strawberryST_m/status/1597870918008999937
これから妊娠を考えている人には是非知っておいてほしい。妊娠出産では健康な人でも入院となってしまうこととあるが、医療保険に加入していれば多くが手当てされる。ちなみに私の妻は健康体だが2人とも切迫早産になり1ヶ月以上入院。今更医療保険に加入申請しても傷病歴があるので保障対象外になる。。
— ななごー @2022/12から育休復帰 (@7korobi_5oki) November 26, 2022
出産後に検討する保険については【学資保険】が代表的。
学資保険の選び方について詳しく知りたい方は以下の記事もご参考くださいね。
妊娠の保険に関してよくある質問 FAQ
Q. 妊娠中に民間の医療保険に加入できる?
妊娠週数や合併症などにもよりますが、申込できる保険はあります。
妊娠中に加入できる医療保険でも、保険料が高くなったり、出産関連の疾病・子宮部位の疾病が不担保(条件付き)になることがありますので、保険会社や相談窓口で詳しく聞くのがいいでしょう。
Q. 出産(正常分娩)でも、加入済の医療保険から給付金は支給される?
正常分娩であれば給付金の支給対象とはなりません。
異常分娩であれば給付金の支払い対象となりますが、支払いの対象は商品によって異なるため注意が必要です。
Q. 妊娠が公的医療保険の適用外になるのはなぜですか?
妊娠は病気ではないため、公的医療保険の対象外となります。
しかし、妊娠時の医療行為としてみなされる帝王切開の手術などは公的医療保険の対象となる他、出産育児一時金などの助成金があります。
まとめ
この記事では、妊娠した場合の保険、社会保障制度にまつわる内容について解説してきました。
大切なポイントは以下でした。
・妊娠の健診や検査、自然分娩は基本的には保険適用外
・妊娠前に検討・見直したい保険は「医療保険」
・異常分娩などの「治療を目的とする入院や治療」にあたる妊娠中のトラブルは、医療保険が適応される
妊娠・出産には何かとお金がかかるものですが、国から助成金や免除制度が準備されています。
働いている女性であれば、会社独自の制度や給付金がある場合もあります。
とはいえ、想定外のことは、いつ、どのようなことが起こるのかは、誰にも分かりません。
特に妊娠中は、さまざまなリスクをはらんでいると言っても過言ではありません。
できれば妊娠する前に、「転ばぬ先の杖」として保険に加入し、万一のときに備えておくと安心でしょう。
自分自身で適切な保険を選ぶのが難しく感じる人は、ぜひお金・保険のプロであるファイナンシャルプランナーへの無料相談を検討してみてください。
本日はここまでにします。いつもありがとうございます。