アフターコロナのベトナムビジネス環境

アフターコロナのベトナムビジネス環境 ASEAN

こんにちは、てつや(@tetuya_888)です。

本日は足元の『ベトナムビジネス環境』について解説していきます。日本も緊急事態宣言が解除され、海外展開中の企業やこれから海外に展開しようという企業の動きも活発化してきました。

日系企業にとってもベトナムは今後も展開候補地となる地域ですので現状についてお伝えしますね!

こんな記事も以前記載しましたので合わせてご覧ください。
コロナウィルスを契機に今チャイナプラスワンを考える

中小企業が海外展開を検討する理由

悩めるAくん

・アフターコロナの経済状況

・外国人の入国/トランジット状況

・財政支援策

・労働、給与に関して

こんな内容を理解できる記事を書きました。

ベトナムの新型コロナ感染状況

ベトナムの新型コロナ感染状況

ベトナムでの新型コロナ感染状況は累計355人、死亡者数0人(7/4時点)です。

ベトナムの新型コロナ感染者数は、3月以降増加したものの、3/22から海外からの入国を禁じました。

4月に入り減少し、日本やその他アジア比影響も軽微な状況です。

経済状況

世界銀行によると、GDP成長率を+6.5%から+4.9%に下方修正しました。年末まで続くとなると、+1.5%となる恐れもあります。(3/31発表)

✔3月末、ベトナム統計総局によると第1四半期のGDP成長率は3.82%と前年7%から減少

✔輸出額は0.5%増の590億8000万ドル、輸入額は1.9%減の562億6000万ドル

2020年第1四半期における破産、清算企業数は35000社と過去最大となっています。

経済・財政対応策

ベトナム政府は2000万人の労働者・自営業者等に対し総額62兆VND(約2900億円)の給付を決定しています。

その他法人・所得税や国庫への支払猶予・減免、融資枠確保等、総額500兆VNDの経済対策を予定しています。

労働者への補償は以下です。

失業保険の受給なしまたは、労働契約未締結での解雇者:月100万VND最大3ヵ月

一時帰休労働者:月180万VND最大3ヵ月

貧困世帯および貧困に近い世帯:月25万VNDを最大3ヵ月

年間1億VND未満で4月1日以降に営業停止した自営業者:月100万VND最大3ヵ月

となっています。

その他財政難の企業に対し、労働者の給与の50%相当をベトナム社会政策銀行から無担保、無利子で借入できる融資があります。

また、ベトナム中央銀行は主要な政策金利を引き下げました。

✔貸付基準利率、公開市場操作を通じた買戻条件付金利等を0.5~1.0%引き下げ

✔金融機関のVND建預金金利上限を0.25~0.3%引き下げ、短期貸付金利を0.5%引き下げ

となっています。

移動・出入国規制について

移動・出入国規制について

ビジネスでベトナムへ入国を検討して方も多いですが、現在の状況は以下です。

外国人の入国・トランジットは禁止されています。(3/22発動、期間未定)

✔新規の3ヵ月ビザ、労働許可証の発行はすべて停止

✔駐在員の労働許可証の更新は可能

✔例外的に専門家、企業管理者、高技能労働者は入国可能(コロナウィルスの陰性証明書をベトナムにて事前に承認が要)実質的には不可能に近い

✔出国は可能。ただし、国際線が減便かつ、空港までの移動が困難

✔ラオス・カンボジアの国境メインゲート、サブゲートの一時停止

ベトナム駐在者の国内移動制限状況は以下です。

✔必要不可欠な経済活動、工場における生産活動及び食品、医薬品その他の生活必需品の調達を除き、自宅にて待機

✔必要不可欠の定義は明確ではなく、民間企業は各社の判断で社員の出勤有無を判断することとなる

✔接触の際、2メートル以上の間隔をもち、会社、学校、病院の外部や公共の場所では3人以上の集まりは禁止

✔社用車や自家用車で省市間移動の際、検問所などで体温測定や勤務証明の提示が求められるケースも

✔ハノイ、ホーチミンからダナン、ハイフォンに入市する際14日間の隔離を実施

となっています。

てつや
まだまだ国内の移動にも制限がある状況です

公共交通機関の状況は以下です。

✔国内線は、便数、座席数を制限し運航

✔搭乗時、体温測定、マスクを着用しない場合搭乗不可(事前に保健省サイトでの健康状況の登録要)

✔タクシーは4/23以降順次再開。バスも再開しているが、いずれも台数は大幅に少ない状況

財政支援策

財政支援策

では、財政支援策についてお伝えしていきます。

主に法人の支援策についてお伝えします。

法人の支援策について

借入金・金利返済

金融機関に対し、困窮企業の借入金の返済猶予、金利減免等への対応を要請しています。

✔元本、金利返済について、12ヵ月を超えない範囲でリスケジュールを要請

✔当初の返済スケジュールで返済できなかったかつ支払不能企業に対し、金利及び手数料の減免要請

✔リスケや金利、手数料の減免企業に対する格付の維持を要請

いずれも政府が金融機関に要請しているのであって、対応可否は金融機関に委ねられている状況。

納税

要件をみたす企業について法人所得税、付加価値税の納税、土地使用料支払を5カ月猶予中です。

対象者は以下です。

①政令41条の定める農林水産、製造、建設企業

②物流・旅客運送・宿泊・飲食・人材・教育・娯楽施設・その他サービス業

③発展を優先する裾野産業・重要機械製品製造業

④中小企業支援法及び関連法令に定める小規模・零細企業

⑤コロナウィルスの影響をうけたまたは個人を支援する金融機関

なお、法人所得税・付加価値税はいずれも納税期限の延長であり、申告は期限通りしないといけませんのでご留意ください。

労働・給与に関して

ベトナムは社会主義国であり、中国同様日系企業にとって労働者とのトラブルについて特に留意が必要です。

新型コロナによる労働者の休職、事業環境の変化に伴う労働契約や給与支払等に関して、労働者が3月25日にガイドラインを示しています。

新型コロナウィルスの影響により従業員が一時的に休職しないといけない場合

想定されるケースは以下です。

  1. 外国人従業員が、入国規制等により職場へ復帰できない
  2. 従業員が隔離措置等により職場へ復帰できない
  3. 一部の従業員の感染疑い、あるいは感染による隔離措置にともない企業、部門の封鎖により事業継続できない

こんなケースの解決方法は以下です。

✔労働法第98条第3項
✔休職期間中の従業員の給与は、当初の労働契約雇用者と被雇用者で合意した金額で可能
✔ただし政府により規定される最低賃金を下回らないものとする

これから進出を検討される日系企業のかたも労働契約書の作成はしっかりと行いましょう。

新型コロナウィルスの影響により企業の事業活動に支障が生じている場合

想定されるケース毎に解決方法を記載していきます。

  1. 企業が原材料、市場で困難に直面し、従業員に対し割り当てる十分な業務量がない
  2. 長期にわたる業務の停止が企業の支払能力に影響を与える場合
  3. 企業が事業活動を縮小し、従業員数を減らさざるを得ない場合

こんなケースの解決方法は以下です。

  1. 労働法第31条の規定に基づき従業員に対し当初の労働契約と異なる業務に従事可能
  2. 労働法第32条に基づき、雇用主と従業員は労働契約の履行の一時停止に同意可能
  3. 労働法第38条または第44条に従い労働者を調整することができる

雇用主側に問題がでたときは、各々根拠条文がありますので留意が必要です。

特に第38条(雇用者による労働契約の一方的解除)では、

✔被雇用者に対し事前通告が必要(3日前~45日前)

✔失業手当(勤続1年毎に1ヵ月分の賃金の50%相当額)の支給が必要

また第44条(組織・技術の変更その他の経済的背景)では、

✔被雇用者の解雇に際し、労働組合との話合、国家機関への30日前の通告が必要

✔解雇手当(勤続1年毎に1ヵ月分の賃金の100%相当額)の支給が必要

となることに注意が必要です。

詳細はお問い合わせフォームから受付ます。

さいごに

さいごに

いかがでしたでしたか?

現在は新型コロナの影響でヒトやモノが自由に移動もできず、復旧にはまだ時間がかかりそう。

ただ、日系企業にとってもベトナムは距離的にも近いアジアビジネスの要所ですので、今後の支援策についても要チェックですね。

直近のタイの状況についても別記事で記載してますので、参考いただければ嬉しいです。

アフターコロナのタイビジネス環境

というわけで、今回は以上にします。いつもありがとうございます。

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