こんにちは、てつや(@tetuya_888)です。
本日は足元の『シンガポールビジネス環境』について解説していきます。日本も緊急事態宣言が解除され、海外展開中の企業やこれから海外に展開しようという企業の動きも少しずつ回復してきました。
日系企業にとってもシンガポールは海外ビジネスの要所ですので現状についてお伝えいたします。
こんな記事も以前記載しましたので合わせてご覧ください。
コロナウィルスを契機に今チャイナプラスワンを考える
こんな内容を理解できる記事を書きました。
シンガポールの新型コロナ感染状況
シンガポールでの新型コロナ感染状況は累計40197人、死亡者数26人(6/13時点)です。
シンガポールは、
人口:約560万人
国際会議・展示会開催件数で世界8位、世界のハブ拠点
ASEAN諸国の中でも「先進国」
2019年まで4年連続で外国人来訪者数が過去最高を更新していましたが、前年比2~3割減少する見込みです。
2019年の来訪者の約2割が中国人でした。
建設業に従事する外国人労働者の寄宿舎にてクラスター感染が拡大していまして、総感染者の大部分をしめます。
経済状況
全体感
通商産業省(MTI)によると、20年1QのGDPはマイナス2.2%です(3/25発表)
✔20年の成長率見通し▲1~▲4%
✔シンガポール金融管理局(MAS)によると2020年に景気後退局面に突入
✔SIBOR(3ヵ月)は2019年10月の1.8%→2020年3月1.0%
✔2020年のインフレ率が▲1%
など様々な経済的な影響が明らかに。
建設業界
クラスター感染を引き起こしたといわれる建設業界の状況は以下です。
✔2020年1Qは前年同期比▲4.3%
✔GDP回復傾向にあった2019年4Qと比べると▲22.9%
シンガポールは建設業界の労働力を周辺アジア諸国に大きく依存しています。
そのため周辺国のロックダウンや移動制限措置によりサプライチェーンが乱れたことから経済的な影響も大きくなっています。
サービス業界
先進国ですのでサービス業も国を背負う大きな産業です。
✔2020年1Qは前年同期比▲3.1%
✔GDP回復傾向にあった2019年4Qと比べると▲15.9%
観光客の急減と国内消費減少を背景に、
・航空輸送
・宿泊施設
・フードサービス
・小売
は大きな打撃をうけました。
現在のシンガポールは中国人観光客に対する依存度が高まっていたことから、回復に時間がかかるでしょう。
移動・出入国規制について
ビジネスでシンガポールへ入国を検討して方も多いですが、現在の状況は以下です。
短期訪問者は入国・トランジットが禁止です。また、市民・ビザ保有者も厳格な手続を求められています。
✔すべての短期訪問者は国を問わず入国・トランジット禁止
✔在留資格保有者すべては、シンガポールへ移動前に関連機関から事前承認要
✔上記承認が得られない場合在留資格は取消され、労働禁止
✔帰国者の雇用主は、雇用主の責任で移動・住居等を手配する必要あり
シンガポールの国内移動制限状況は以下です。
✔食料や必需品を買いに行く必要が無い限り、できるだけ自宅待機要
✔外食は厳禁
✔外での1メートルのソーシャルディスタンスの確保
✔外出時のマスク着用義務付け
となっています。
厳格にコロナ対策が敷かれており、当面ビジネス、生活面で制限がある状況です。
財政支援策
では、財政支援策についてお伝えしていきます。
政府は新型コロナ危機対応にあたり企業を支援するために3つの予算を導入しました。
総額は599億SGDでGDPの約12%にものぼる規模となっています。
法人と個人に分けてお伝えしていきますね!
法人の支援策について
雇用・賃金
サービス産業を中心にローカルスタッフの賃金補填を実施しています。
航空、観光、外食サービス業のローカルスタッフに毎月の賃金4600SGDまでの50~75%を補填。
その他業界では25%の賃金が補填されています。
また、外国人雇用税の課税免除および2020年に支払われた同課税額について、ワークパーミットまたはS-Pass所有者ごとに750SGDの外国人雇用税の払い戻しが行われます。
借入
主に中小企業支援策については以下です。
✔中小企業の融資の元本返済の猶予(2020年12月末まで)
✔中小企業運転資金の最大融資額を増額(60万→100万SGD)
✔貿易金融への不払いに備えた政府保証を90%まで引き上げ
税金
税金についての措置は以下です。
✔所得税支払いの延期(3ヵ月間)
✔法人所得税の25%払い戻し。(最大15000SGD/社)
✔商業用不動産の2020年度固定資産税は課税なし
その他
すべての上場企業、非上場企業に対して、株主総会の実施期限を60日延期、および法人税申告期限を60日延期可能となっています。
また、2020年4月1日~2021年3月31日までの政府手数料価格変更は据置となっています。
個人の支援策について
現金給付
すべてのシンガポール人に対する政策は以下。
✔収入に応じ600~1200SGDの一回限りの現金給付
✔21歳以下の子供を持つ各親に300SGDを追加給付
✔低賃金労働者には3000SGDの給付
✔生活困窮者には300SGDの食料品給付
✔50歳以上には100SGDの給付
となっています。日本以上に所得に応じて手厚い給付内容ですね。
借入
✔4月1日から1年間すべての政府への支払を凍結
✔6月1日から1年間大学および専門職学生のローンの返済と利息の1年間の停止
✔住宅ローン延滞金の3ヵ月間の停止
さいごに
いかがでしたでしたか?
現在は新型コロナの影響でヒトやモノが自由に移動もできず、復旧にはまだ時間がかかりそう。
ただ、日系企業にとってもシンガポールはアジアビジネスの統括拠点や、サービス企業にとっての要所ですので、今後の支援策についても要チェックですね。
というわけで、今回は以上にします。いつもありがとうございます。
・アフターコロナの経済状況
・外国人の入国/トランジット状況
・財政支援策