アジア各国への食品輸出を考える

アジア各国への食品輸出 ASEAN

こんにちは、てつやです。

現在、日本の食が世界に注目されています。

それは農林水産物・食品の輸出の増加にもあらわれています。
2013年5,505億円→2019年9,121億円と7年で約1.6倍なっており、その背景には日本政府による輸出促進政策があります。

2019年までに農林水産物・食品の輸出額を1兆円に増大させ、その実績を基に、新たに2030年に5兆円の実現を目指す目標を掲げ、具体策を検討
【農林水産業・地域の活力創造プラン(抜粋)】

実際現地に行ってみると、日本食レストランや「日本」クオリティーをうたった食材が、スーパー、百貨店などだいたいどこの国でも置いてありますよ。

タイ、マックスバリューの光景                タイ・マックスバリュの日本産果物コーナー

日本の「安心・安全・おいしい」食品が政府の後押しもありながら、海外に展開されていくことは中小企業の更なるビジネスチャンスになりますね。
本日は、日本にとって地理的に馴染みがあり貿易額も大きいアジア圏の国々について、これからどの国に進出検討すればよいのかを考えていきます。

食品輸出国動向

貿易相手国として、アジアが多い

国地域別輸出額割合(農林水産省データ)

事業者様の海外展開のお役に立てれば幸いです。

日本からの輸出上位7か国(アジア圏)

2018年時点の農産物の輸出額は、以下です。

  • 香港→1,215億円
  • 台湾→708億円
  • 中国→691億円
  • 韓国→440億円
  • ベトナム→266億円
  • シンガポール→232億円
  • タイ→195億円
Point!

香港は以前より日本にとってのお得意様であり、食品世界輸出額の2割強を占めています。
近年、中国やベトナム、タイへの輸出額が増加しています。これは、各国の消費市場が拡大しているからと考えられます。

基礎的状況

日本からの輸出が多い順に各国のマクロ情報や、在留邦人、日本食レストランの数をジェトロ資料などから調べてみました。
データはいずれも2018年です。

国名人口(万人)実質GDP成長率(%)1人当たり名目GDP(ドル)在留邦人(人)日本食レストラン(店)
香港7483.048,51325,5271,360
台湾2538.92.6325,00421,05413,044
中国139,5386.69,633124,16340,800
韓国5,184▲0.331,37039,77811,714
ベトナム9,4677.12,55317,226900以上
シンガポール5643.161,23036,4231,176
タイ6,7794.17,18472,7543,004
Point!

香港や台湾、韓国、シンガポールはある程度成熟したマーケットです。食に関する意識も高く、日本の高価格な食品にも一定のニーズがあると考えられます。ただ、日本でも同様なことが言えるとは思いますが、新たに進出するという目線だと取引先が大手のバイヤーとなる可能性があり、参入は容易ではないかもしれません。
一方、中国、ベトナム、タイなどは今後の市場成長性という観点からは挑戦しがいのある国と言えます。
市場といっても、現地の日本人向けのマーケットなのか、現地人向けのマーケットを狙いに行くかでも戦略は違ってきます。

日本の農産物に関する規制

農産品輸出に関しては各国違った規制を導入しておりますので、留意が必要です。
各国の規制状況は以下です。

国名農産物に関する規制
香港福島県産輸入停止
茨城、栃木、群馬、千葉県産:放射性物質検査証明書及び輸出事業者証明書が必要
台湾福島、茨城、栃木、群馬、千葉県産:すべての食品輸入停止
その他42都道府県:全ロット検査
産地証明、放射性物質検査報告書などの提出が必要
中国福島、茨城、栃木、群馬、千葉、宮城、長野、埼玉、東京、新潟:すべての食品・飼料:輸入禁止
上記10都県以外の製品は産地証明証が必要。野菜及びその製品は放射性物質検査証明書も必要であり、様式が整わず実態は輸入停止
韓国福島、茨城、栃木、群馬、千葉、宮城、長野、神奈川、埼玉、青森、山梨、静岡、新潟の14県で収集・加工され、日本政府が出荷制限要請対象としてしたことのある品目:輸入停止
ベトナム植物検疫で有害動植物危険度解析(RPA)が必要
生鮮果実はりんご・なし以外輸入不可
RPA規制の対象外となる品目:レタス(生鮮)、しめじ(生鮮)、製茶(乾燥)、しいたけ(乾燥)、柿チップ(乾燥)
シンガポール福島県産:輸入停止、輸入規制あり
その他:原産地証明書が要求される
タイ野菜・果物:園地、梱包施設などの登録が必要
Point!

香港、台湾、中国、韓国においては東北大地震後かなり規制が厳しくなって久しいです。特に中国では実務的には食品輸出が難しい状況ですので、留意が必要です。その他の国についても品目によって輸出の難易度が違ってきますので、事前の調査が必要です。

進出国を評価するにあたって

 進出国を評価するにあたっては、

  • 市場規模
  • 成長性
  • 競合性
  • 参入難度(規制関連)
様々な要素を検討して総合的な判断が必要だね!

「食品」についても海外展開にあたっては、様々な角度から検討が必要であることは間違いありませんが、政府の後押しもあり是非チャレンジしたいですね。

冒頭にも記載しましたが、実際現地に行ってみると日本食はアジアの国々にあふれています。
それだけニーズも高まっているし、アジア圏で生活する日本人とその家族が増えてきているということなのだと思いますが、このチャンスを逃さずビジネスに繋げたいものです。

本日も最後までお読みいただきありがとうございました。

グーペ

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